絵の真贋・平山郁夫

バブルの時、独立することになったといってお祝いにと頂いたいある絵。
押入れに20年間厳重に保管?

先だってこの社長のお宅に用事があって伺ったおり「うちに有名な学校の先生が書いた絵があるから見てご覧」とたいそう自慢気に言うので、はてどんな絵だろうと興味を持ちながら箱を開けサインは誰だろう有名作家だったらどうしようかと玉手箱をあけるような気持ちで見たら、絶句・・・。

額縁は普通の市販されている低価格用のデザイン額。

額縁の良し悪しで絵を判断していけないと思いつつ、あの有名な画家がこのような安い額縁を使うか?と、それがまず最初に受けた疑問。

顔色をさっしてか怪訝な顔をしながらちょっと聞いてきたので、ここはまずお約束事のようにすべきであると咄嗟に判断。絵を見るから虫眼鏡を容易して欲しいと願い出て、かなり時間をかけながら一応鑑定団の真似事をして、これまた絶句!!

昔は1.0あった視力も現在はだいぶ落ちてきたとはいえ、これを見逃すほど目は悪くなってない。虫眼鏡のおかげもあるが、網点が見えちゃったんです。いわばコピーした時のインクのドット。

さらにきわめつけは作家の印というのは余程の例外がなければ赤なのに、それが黒。

えっ、お葬式用の絵?心に余裕があればそういう冗談も言えたのだが、なにせ会社設立のお祝いに頂いた大切な絵だと伺っていたものでどうやってお話をしたらよいかと困ってしまいました。

あまりにもしつこく聞いてくるものでついついぽろっと・・・・。に・せ・も・の。

さすがに観念したか、帰り際に絵を上げるよと言われましたが丁重にお断りしてきました。

今あの東京藝術大学の学長を務めた日本画の巨匠、平山郁夫先生の絵はどうなったのか気になってしょうがありません。

平山郁夫 1930-2009
日本画家
東京藝術大学学長
文化勲章受章者
シルクロード、佛教に関わる数多くの作品を発表